| 2011年9月5日Vol.30 |

ムササビ箱

感察風景

道で車にひかれたシマヘビ

薪割りアートキャンプの一こま

火おこし
野生動物は問いかける、それを人はくみ取る関係性
大学時代から野生小動物に魅せられ、観察を続け、森に足を運び17年となりました。ムササビの生態や行動を追い、ムササビの代弁者となりながら森の管理整備も行い、しかしながら森に通えば通うほど「疑問やふしぎ」なこと「わからない」ことが増え続け、森に通うことが趣味になったのです。疑問や不思議が1000あるとするならば、わかったことが5つぐらい。そこで気づいたこと、森は森軸でサイクルし、決して人間軸でサイクルしていないこと。今の自分が人間軸で動いていることがわかったのです。森が教えてくれたことでした。そうするとさまざまな生き物が私を含め、森に包まれながら、つながり生きているという感覚が芽生えたのです。そしてムササビは「人とともに暮らす野生動物」ということがわかりました。森に通えば通うほどムササビの数は増えていきました。森と関われば関わるほどムササビは私を認知しているようにも思えてきました。ムササビの巣箱の下でチェーンソーで木を切ってもひょっこり顔を出して眺めて私を確認し、巣へ戻ります。鬼ごっこでもたき火をしても同じでした。
自然観察は、自分「感」察
私の自然観察はどこでもできます。森の中、海の中、車や電車や家の中から…。観察のゴール設定は「名前や生態をしる」にとどまらず「自然界での役割、他の生き物や人間との関係性の探求」にあるからです。 ネズミ=汚い、家の中のクモの巣=排除、軒先のハチの巣=駆除。それぞれに役割がありそこに棲んでいるのです。そうしたとき自然と自分は対峙しています。生き物たちは私たちの暮らしのなかで大きな役割を小さな体でお話もせずに果たしています。その役割を深く知り、暮らしの中に取り組んでいくことが急務です。なぜ急務なのか、それは自分を助けてくれるからです。もっと暮らしが「楽しく」「心にゆとり」が出てくることはまちがいありません。森や生き物にはそんな「力」が備わっているのです。人はいつからか見えないものに対して、目に蓋をしてしまいました。蓋をすることで五感機能は退化しそうです。そして感じとる力「六感」は失われつつあるのです。
「感」察 日常の暮らしのなかでトレーニング
暮らしの中でトレーニング。この便利な世の中でなんだか荷が重そうですが、そんなことはございません。自分と自然界にあるものが点になっているだけなのです。線で結んでもらえれば、ちょっとずつつながっていきます。そして一度につながらなくても大丈夫。長い時間をかけてやることなのです。知る欲もそんなに持たないこと。なぜなら心が乱れます。その空間に心を投じ、感じることなのです。その感じたことをつたえてみてください。
起きてる事象を伝えるのではなく、これは2番目。まずは心の中に沸いた感情・感性を恥ずかしがらずに伝えるのです。大切なのは聞き手。笑顔でうなずくだけでいいのです。その空間に包まれている時間と自分が最も重要なファクターです。
都留市宝の山ふれあいの里ネイチャーセンター
私の勤務地です。ここでの私の役割は自然と人の橋渡し役、いわばコーディネーターです。自然のみならず、人の心と心もつなぎ合わせます。
ここでは、生き物や自然の知恵を暮らしに取り込める体験活動を提供しています。例えば、ムササビやリス、ノネズミの巣を使った火起こし、ノネズミやリスになっての植樹、宝鉱山の石を利用した火打石など地域資源の質を活かしたプログラムを得意としています。
人の感性を呼び起こすプログラムは最も得意とし、自分の命は自分で守り、誰かのために何かができたとき人は成長する、できた、できないだけでなく、できるために自分に何ができ、それを自覚し実践するというコンセプトで年間を通し、プログラムを展開しています。
最も今、重要視しているのは、親や子供たちから心の思いをもらうことです。これも大切な感察。自然感察は自然界の生き物「人間の心」を読み取ることも可能となるのです。
かすかなサインを見逃さないことは、地域力の底上げにもつながり、地域社会、日本社会を形成し、構築する大切なものとして位置づけ、日々を過しています。
産業の役割
都留市は里地・里山・里水に恵まれた町。反面、一次産業の衰退は従事者と共に著しく、森の利活用やエネルギーの確保ならびに産業の創出については急務の状態。そこで一次産業を特化させることによる六次産業の創出に着手。実践を継続させること、さらには試験・感察・研究を重ねながら、産業を町に定着させることなのです。中山間地域での産業の役割は創出するだけでなく、雇用や地域資源の確保や維持、整備、利活用の目的も含まれます。地域社会を創る役割を担うことが命題なのです。
人と人がつながり、森と人がつながる、企業がつながる、利益追求はもちろんのこと、それ以上に自分や自社にできることを明確にして、心のネットワークを強固なものにする「和の形成」をすること。森は人をつくり、海は森を育てます。地域産業は町を産み、人を育てる方向へ向かい始めました。

佐藤 洋
【Hiroshi Sato】
プロフィール
- 1974年
- 宮城県角田市に生まれる
遊びはずっと森や川、感性はここで養われた。 - 1992年
- 宮城県柴田農林高等学校林業科 卒
森に魅了される。林業のいろはをまなぶ。
植樹を経験、この木はすでに19歳 - 1996年
- 山梨県都留市立都留文科大学(現独立大学法人)文学部社会学科卒
環境生態論ゼミにて動物行動学を学ぶ
ムササビ・ノネズミ、ヒミズ、モグラなどの里山に棲む小動物の観察に
明け暮れる
同年、都留市役所商工観光課(現産業観光課)に博物館学芸員として
入庁
小動物の感察会や展示のみならず、観察手法の開発・環境啓蒙活動にいそしむ - 2008年
- コスモわくわく探検隊 サポートスタッフとして参加
- 2009年
- 宮城県仙台市鎮座国宝大崎八幡宮文化財の杜 森作りアドバイザー
岩手森と風のがっこうなどワークショップを各地で展開 - 2006年~10年
- 都留文科大学博物館学芸員養成コース 非常勤講師
- 2010年~11年
- NPO法人都留環境フォーラム副理事
- 妻、こども2人(7歳、3歳)
- 趣味 :
- 子育て、薪割り、田んぼと畑、野球、ソフトボール
- 子育てもっとー :
- こどもにもう帰ろうといわれるまであそぶこと
長女を長女のように育てず、長男のように育てず
その心は、社会をつくることができる人材の育成


